ココ鹿について

捕獲から解体、販売まで私たちが行っています。

髙田尚希
Naoki Takada
35歳で但馬へ移住し、狩猟免許を取得。先輩猟師さんたちに技と経験を教わりながら日々山を駆け回っています。
髙田宏実
Hiromi Takada
加工作業を手掛ける傍ら、たくさんの人に鹿肉を味わってもらうため、イベント出店にも力を入れています。
山に入るのはライフワーク。
自分を生かしてくれる場所で命と向き合う。
躊躇せず、敬意を払って――――
鹿の処理はスピードが命。
罠にかかった鹿に
自ら止め刺しを行い
その場で素早く血抜きします。
地域の先輩猟師さんたちの協力で
いい状態の鹿が手に入ること、
迅速に処理が行えることが
私たちの強みです。
新鮮で品質の高いお肉を
自信を持ってお届けいたします。

鹿肉の新たな可能性を見出す

人間が生み出した環境サイクルの中で害獣として駆除、廃棄されてしまう鹿たちをなんとかしたい。そして、日本が誇る鹿肉が持つ本来の美味しさをー人でも多くの方に知ってほしい。兵庫・但馬という大自然を有する地方が生み出す様々な可能性への探求と、鹿への想いから私たちが立ち上げたのが「但馬のジビエ ココ鹿」です。※以下「ココ鹿」と表記
「ココ鹿」は、鹿に関わり活動を始めて約3年。2018年に夫婦揃って本格始動をし始めたばかりのブランドです。
人間自体が生み出した環境にも関わらず、日々害獣として殺され、廃棄されている鹿の現状を知り、そんな鹿たちの尊い命を一つでも多く「活用」することで報えないか。この環境サイクルと向き合い、今起こっている循環に新たな可能性は見いだせないか。そんな地域の苦悩と課題を知り、自分たちで出来ることを素直にやっていきたいと考えました。
ココ鹿のキャッチフレーズには
「跨踏なく、敬意を払って」
「山のごちそうに、今日も感謝をこめて」という言葉を使っています。
私たちが誠心誠意向き合い生み出す、鹿肉そのものの高い品質も勿論ですが、肉を只の食材としてみなすのではなく、自然を頂いているという自覚、そして日本社会が抱える問題に同時に取り組む意識を、食に携わるものとし改めて考え、共に築いていきたいと思うのです。

鹿肉へのこだわり

但馬が誇る天然鹿の高い品質を維持する為に、猟銃ではなく罠にかかった鹿のみを使用。こうすることで損傷する部分を最小限に抑えます。山々を知り尽くした師匠と呼ばれる猟師さんと連携し、常に最適な状態で鹿を仕入れる体制を整えています。
猟師さんから鹿を仕留めたという連絡をもらい、現場に直行。その場で自ら止め刺し(※)、血抜きを素早く行います。鹿の処理の肝はスピード。この処理の仕方次第で味わいが大きく変わるのです。
その後自身の工房に移動し素早く枝肉(内臓を取り除き皮を剥いだ状態)の状態にし、数日間2℃の大型冷蔵庫で水分を絞り肉質を落ち着かせます。この一連の迅速な処理が、天然鹿の鮮度を保ち、鹿肉本来の雑味のない味わいを実現します。
チルドでの提供、そして数分でマイナス30℃になる急速冷凍が可能なフリーザーを始め、業務用真空包装器など、鹿肉本来の味わいをお届けするために様々な取組を行っています。使用するお店日線にたち、加工、パッッキングも要望に沿い柔軟に対応することで、より鹿肉を扱ってもらいやすいよう心がけています。
そして私たちの捌く鹿は、一頭丸ごと使い切り、捨てるところが殆どありません。部位ごとに捌いたあと、内臓や骨は自らの工房でドライ加工をし、栄養たっぷりの無添加ペットフード(ナチュラルペットフードwan!)を手作りしています。
自身で一から全ての行程を行うことで実現できる品質の維持。これからも鹿が持つ魅力を最大限引き出すべく、日々丁寧に鹿に向き合っていきます。

※罠にかかった鹿に止めを刺すという狩りの用語です。

良いこと尽くめの鹿肉

日本での肉料理といえば、「牛」「豚」「鶏」がほとんど。 ジビエと呼ばれる鹿やイノシシはまだまだ季節もののイメージや、臭みが強い、硬い、という先入観があり食べた事がない方も多いのではないでしょうか。
鹿はフランスやドイツといったヨーロッパ諸国や二ュージーランドなど海外では一つの高級肉食材のジャンルとして人気を博しています。牛肉ほど主張のないさっぱりとした味わいは、様々な料理に適しており肉料理のバリエーションが豊富です。
更に、自然で育った天然鹿は食用として均一に育てられた他のお肉とは違い、季節ごとに様々な味わいの表情を見せてくれるのも魅力の一つ。これは、四季がある自然そのものの移ろいに合わせ、鹿が餌にする植物が異なるため。春から夏は青々と生い茂る草を食べ、よく動きまわりすっきりと引き締まった「夏鹿」、秋から冬は実りの秋の豊富な木の実などを食べ、肉を蓄え味わいに深みが増すリッチな「冬鹿」。四季のサイクルに肉質と味わいがマッチしており、季節の料理と呼応し合う味わいを、それぞれの季節毎に年間通してお楽しみいただけます。
鹿肉のもう一つの魅力がその食材そのものとしての優秀さです。高夕ンパク、低カロリー、 低脂肪、低コレステロール、そして鉄分、亜鉛、マグネシウムといったミネラルも豊富で栄養価が高い鹿肉。同量の牛肉と比べるとタンパク質は2倍、カロリーは3分の1、脂質は15分の1、鉄分は2倍です(※)。現代人に不足しているといわれる鉄分も効率よく摂取できます。更に、鹿肉には青魚に含まれるDHAやアセチルカルニチンという体内の脂肪燃焼を助けるアミノ酸も豊富で、スポーツ選手や療養食など様々な場面で注目されている栄養素です。このように鹿肉は良いこと尽くし。日本国内ではイノシシ肉と同様、縄文時代から食べられていたとされるだけあり、日本人との相性も非常に良い食材なんです。
更に、鹿肉は非常に柔らかく食べやすい肉質も特徴的。熟成をかけることでより柔らかくなり旨味も増しますので、お好みでお肉を「育て」お店に最適な味わいを開拓できるのも大きな魅力の一つです。
私達は日本における「鹿肉」のジャンル定着と、更なる可能性を探っていきたいと思っています。

※文部科学省日本食品成分表参考(部位によって数値は前後します)

但馬の自然が生み出した旨味

兵庫県北部に位置する但馬地域は、天空の城と呼ばれる竹田城跡や但馬牛で有名です。
兵庫の屋根と呼ばれる氷ノ山をはじめとする、1000メートルを超える山々が連なっており、最北は日本海に面している自然豊かな地域。北部は豊岡市と美方郡からなる北但、南部は養父市と朝来市からなる南但とニ分して呼ばれることがあります。
「ココ鹿」は南但の朝来市に位置。雄大な山々に囲まれ、豊かな自然の中でのびのび育った但馬鹿にいち早く辿りつける場所に工房を構えています。
但馬の天然シカは味わいも非常に奥深く織細。鹿肉本来の香りが高く、熟成をかける事で香りや旨味も増し、調理法や料理に応じてお肉を「育てる」ことが出来る高い可能性を秘めています。
但馬地域を始め多くの地域では鹿は害獣として駆除され続けています。今まで鹿を餌としていた狼が絶滅、そして人間が手を入れていた里山が放置され、猟師の高齢化と後継者不足がさらに拍車をかけ、繁殖力の強い鹿の数が年々増え続け、鹿は山を下り農作物を荒らしてしまいます。県内では年間何億にも上る被害が確認されており、兵庫県としても日本全体としても鹿への対策は急務となっているのが現実です。
人間自身が作り上げたこの環境の悪循環の中で、増加する鹿をただ駆除し廃棄するのではなく、しっかりと感謝しながらいただくこと。鹿の命を一つでも無駄にしないこと。これは但馬を筆頭に人間が貴任をもって行う事ではないでしょうか。
私たちは、この社会問題、そして鹿に誠心誠意向き合い、但馬の自然が生み出した天然鹿の魅力を最大限に引き出していきます。